すなわち、「事物」(この場合、一切法ではなく、生じ滅する有為法のみを考える。)には、
- 自性によって成立している事物、それ自体で存在している事物
- 何らかの効果を生み出す能力のあるものとしての事物
前者が勝義においては存在しないと言われる事物であり、後者は世俗のおいて存在しているとされる事物である。これを事物という言葉の二義に関連させて説明しているのである。
効果を生み出すことができるということは、「縁起している」ということである。自性によって成立している事物がない、ということは「無自性」、あるいは「自性に関して空である」ということである。これらが矛盾することなく、それどころか、相補う両面として同時に設立している、というのが、中観派の不共の勝法の内容である。
こうして、ツォンカパの文章は様々な概念や表現、説き方をしながら、緊密に一つの存在論的原理へと繋がっていくのである。
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